中山道<第18日>望月~芦田~長久保2007年10月13日

中山道碓氷峠踏破記念Tシャツを着て
井出野屋旅館内部 画像 朝飯前に部屋の前の廊下をウロウロして写真を撮る。
この「井出野屋旅館」、大正時代に建てられただけあって客室と廊下の間は障子1枚で鍵もない。
東京でマンション暮らしの僕らにはちょっと考えられないことだが、旅の一夜を都会では有り得ないシチュエイションで過ごすのも一興であった。
旅籠山城屋 画像 何しろ建物に染み付いた雰囲気がただごとではない。
映画「犬神家の一族」のロケに使われたというのも納得だ。
中山道をはさんだ向かいには江戸時代の築らしい「旅籠山城屋」もある。

本日の出発は午前9時。
何と、朝東京からやって来て歩き始めたきのうとほぼ同じ時刻だ。
交通機関の発達は凄まじい。
その恩恵をたっぷり受けながらの歩き旅というわけだ。

出がけに玄関まで送ってくれた女将さんに話を聞くとほぼ毎日中山道歩きの宿泊客があるとのこと。
その中には1日でここから和田峠を越えて下諏訪までのおよそ40をキロ歩く人もいるそうだ。
しかも僕らよりもずっと年配で!
「今日は長久保までです」と僕が話した時の女将さんの表情に「あんたら若いのにそんなもんかね」という言葉を読み取ったのは気のせいだろうか。

旧問屋兼旅籠真山家 画像 井出野屋を出てまずはかつての問屋兼旅籠だった「真山(さなやま)家」へ。
きのう井出野屋の女将さんに内部を見ることはできますかと尋ねると「今は難しいと思います。ご主人がいた時は見せていたんですけど・・・・」とのことだったが、その言葉通り国の重要文化財にも指定されたこの建物の出入り口と窓は全て閉ざされていた。

青木坂 画像 望月宿を出ると街道右手にはのどかな田園風景が広がる。
やがて青木坂を登り始める。
舗装道路ではあるが、樹木が頭上を覆う、雰囲気のある坂だ。
途中で振り返ると望月の町が一望できる。

さて、坂を登りながら出がけの女将さんの言葉について考えてみた。
毎日あるという中山道歩きの泊り客を全て二人連れだとすると年間で2人X365日=730人。
向かいの山城屋にも同じくらいのお客があるとすると望月に中山道歩きで宿泊する人は年間で730人+730人=1460人。
さらに中山道を歩く人の半数が望月には宿泊せずに素通りするとするならば、その数も年間で1460人。
つまり僕の勝手な試算では中山道歩き人口は1460人+1460人=2920人!
おお、全国約3000人の同志よ、僕らは今日も歩きます!

間の宿茂田井 画像 そんなことを女房と話しながら歩いているうちに街道は坂を下って茂田井に入る。
ここは望月宿と芦田宿の間のいわゆる「間(あい)の宿」と呼ばれる所で、正式な宿場ではなかったが、道が狭すぎて国道が迂回したため昔の町並みが残っている。
右側に立ち並ぶ酒蔵の白壁と左側の用水路。
美しい。
ただ、わが生まれ故郷高知県佐川町も酒造の町で、これに近い町並みがあったはずだ。
上京25年、今はどうなんだろう。

街道右手の景観 画像 茂田井を出ると一旦坂を登りまた下る。
すると右側の視界が大きく開けてくる。
稲刈り真っ最中の田園の向こうの丘陵、そしてその背後の山並みまで視界をさえぎる物は何もない。
気分がせいせいするとはこのことだ。
特に高い所にいるわけでもなく、普通に道を歩いているだけでこんな景観がおがめるというのが素晴らしい。
かつて寝台列車「北斗星」で北海道に渡った時に「日本に北海道があって良かった」と思ったものだが、今はさしずめ「本州に長野県があって良かった」という気分だ。

立科町役場 画像 しばらくすると右約400メートルを並行する国道にセブンイレブン発見。
この先昼飯にありつける店があるか不安なので寄り道してパンなどを買い込み、旧道に戻ってすぐに芦田宿に入った。
旧い民家が点在する代わりに大きな建物もない、と思ったら立科町役場の威容が眼に飛び込んで来た。
高崎、松井田、望月、そして芦田とどうしてこう役場の庁舎だけが突出して立派なのだろう。

芦田宿旧本陣 画像 その役場の向かいに旧本陣がある。
「中山道で唯一内部を見学できる本陣」と聞いていたので門をくぐって鯱の見事な建物に近付いた。
すると閉ざされた玄関の前で雑巾がけをしていた老婦人が立ち上がって色々と説明をしてくれた。
しかしその説明の内容はほとんど記憶に残っていない。
説明と共に彼女が語った「嘆き」の方がはるかに印象に残ってしまったからだ。

芦田宿旧本陣 画像 この御婦人は当家の後家さんで、もう80歳を過ぎているというのにこの旧本陣の遺構をほぼ1人で維持管理しているそうだ。
別に好きでやっているわけではなく、息子たちはこういう物に関心がないのでおのずと老人の仕事になるらしい。
これだけの御殿、掃除するだけでも大変な上に、長野県宝に指定されたためちょっとした修繕もいちいち許可をもらわねばならない。
塀の修理も昔ながらの工法でないと許可が下りず、そんな特殊な工法では1000万単位の費用になってしまうそうだ。

芦田宿旧本陣 画像 「本当に、大変なんです」とつぶやいて御殿を見上げるその姿に僕らは言葉を失った。
まるでこの物言わぬ200年前の建物に呪われた人生とでもいうべきものを目の当たりにした気がしたのだ。
近年は床の傷みがひどく、「もしお客さんが歩いた拍子に床でも抜けてそれでけがした場合はどうなりますか」と役所に相談したところ、「それはお宅で責任をとって頂く事になります」と言われたそうだ。
「それで、今は誰にも中をお見せしていないんです」
納得するほかない。
僕らが宿場宿場で「わーい、本陣だ」なんてのんきにはしゃいでいる陰では、図らずもその家に生まれついたりお嫁に来たりした方々の否応のないご苦労があるということだ。
行政は何をやっているのだろう。
立科町に立派な町役場が建ってその代わりに築200年の文化遺産はこのまま朽ちてゆくのだろうか。

浅間山 画像 悄然として芦田宿を出た僕らだが、笠取峠に向かう緩やかな坂を登りながら後ろを振り返ると青空の下、浅間山がくっきりと見えている。
にわかに気分が浮き立ってくる。
現金なものだ。

笠取峠の松並木 画像 笠取峠の松並木が見えてきた。
見事な松の古木が立ち並んで往時の雰囲気をよくとどめている。
国道は左の崖下を並行し、視界には入らないがエンジン音が少々耳障りではある。
この松並木の脇に据えられたベンチでさっき買ったパンを食べた。

松並木を過ぎるとしばらくは国道を歩く。
暑くなってきたので上着を脱いでTシャツ1枚になる。
そのTシャツとは7月7日に碓氷峠を越えたことを記念して夫婦で作った物だ。
胸に女房が描いた碓氷峠のイラストと「USUI」の文字、左袖に「07.07.07」の日付、背中には「中山道碓氷峠踏破記念」の文字をそれぞれをアイロンプリントしてある。
しかし風が吹くとちょっと寒いのですぐにまた上着を着る。

笠取峠の馬頭観音 画像 かつては中山道屈指の景観を謳われた笠取峠であるが、現在の国道は10mほども掘り下げられているため眺望は全く望めない。
国道左手の擁壁の上に登ると藪の中に馬頭観音がポツンと立っていたのでここを街道が通っていたことは間違いなさそうだ。

笠取峠の下り坂 画像 国道を長久保に向かって下り始めると、右手に分岐する旧国道のガードレールに切れ目があり、「中山道原道」という立て札が立っている。
ここから雑草の生い茂る野道を下る。
いきなり本格感たっぷりだ。
笠取峠の下り坂 画像 一旦旧国道を横切ってまた「中山道原道」の案内板に従って野道に入る。
女房は昼頃から感じ始めた膝の痛みが進行して片足を引きずっている。
しかしこの山中ではもう下りるしかない。
長久保まであと2キロほどだ、頑張ってくれ。

季節柄か、赤とんぼが大量に飛び回っていてる。

付着した種子 画像 三たび舗装道路に出て、ガイドブックではもう一度野道に入ることになっているが、今度は案内板がない。
だいたいこの辺だろうと見当をつけてエイヤッとガードレールをまたいだまでは良かったが、その先道らしい道が見当たらない。
段々畑の痕跡と思われる石垣があるだけだ。
仕方なく生い茂る雑草の中を突っ切ってその下の舗装道路に辿り着いた。
膝から靴にかけて雑草の種子がびっしりと付着している。
さらにその先のガードレールの切れ間から農道に入ることになっていたが、その道は個人宅に向かっているので引き返して旧国道を下った。
その間、中山道歩きとおぼしき夫婦2組と立て続けにすれ違ったが、2組ともガードレールの切れ間などには目もくれず旧国道を上って行った。

長久保宿 画像 中山道はまたもガードレールの切れ間から旧国道をそれて松尾神社を横切り、緩やかにカーブしながら坂を下り、そのカーブが直線になったあたりで長久保宿となる。
直線の突き当たりがT字路になっていて、その向こうに依田川が流れる谷があり、そしてその背後には幾重にも連なる山並みというロケーション。
いよいよ山深い里まで来たものだと改めて感慨にふける。

バスに乗り込む 画像 この頃になると帰りのバスが気になってくる。
上田から新幹線に乗る予定だが、上田行きのバスは2時間に1本しかない。
バス停を探している間にそのバスを逃したら大変だ。
という訳で中山道の本陣では最高だろうといわれる長久保宿旧本陣などはさらっと通り過ぎてしまった。
その甲斐あってか3時ちょうどのバスにベストタイミングで乗り込んだ。
女房の膝もなんとかもってくれた。
来年5月を予定する和田峠越えに向けてこれからトレーニングを積むことにしよう。
そんな決意とともに上田に向かった(車中爆睡)。

コメント

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