中山道<第25日>奈良井~薮原~宮ノ越2010年05月14日

鳥居峠越えの中山道
9:30AM、店主さんに見送られて「いかりや町田民宿」を出発。
こちらでは娘を可愛がって頂いた上に持参のベビーフードを食べさせるのを手伝ってもらったりと本当にお世話になった。
そして出発に際しては昼食のおにぎりを持たせてくれた。

金曜朝の奈良井宿 朝の奈良井宿を薮原方面に歩き始める。
金曜日の今日はきのうに比べて人出がある。
復元された高札場で宿場は終わる。
そこからちょっと坂を登って楢川歴史民俗資料館の前で振り返る。
「俺の中の世界遺産、奈良井宿よさようなら」

しかし感傷に浸っているヒマはない。
今日はこれから鳥居峠越えに挑むのだ。
今まで越えてきた碓氷峠、和田峠に比べれば大したことない峠かも知れないが、何しろ今回は2泊3日分の荷物+現在9キロ強の娘を背負っている。
楽なはずはない。

鳥居峠の石畳舗装道路の右に石段があってそこから峠越えの道が始まる。
すぐに未舗装の草道になってどんどん上ってまた舗装道に出る。
坂を登り始めてまだ5分足らずだがもう息が上がっている。
まずい。
すぐに今度は石畳の道が始まるのだが、その登り口には木の枝を切った杖が用意してあったのでそれこそ藁にもすがる思いでその中の1本を手にして登り始めた。
するとこれが思いの外効果があってかなり楽になった。

中の茶屋跡 20分ほどで沢の向こうにあずまやが見えてきた。
中の茶屋跡だ。
ここで休憩。
前を流れる沢は“葬り沢”と呼ばれる。
ここは衰運甚だしい武田を見限って織田信長に寝返った木曽義仲が武田勝頼軍を壊滅させた場所だ。
この谷が敗れた武田方兵士の屍であふれたことからこの名がついた。
もちろん現在は緑の清々しいハイキングコースである。

倒木が電線を引っ掛けている 道はジグザグに折れ曲がりながら、途中電線が倒木に引っ張られて頭の高さまで落ちて来ている危険地帯を過ぎて現在山小屋が建つ中利茶屋跡に至る。
ここでまた休憩。
ここからは奈良井宿方面が見渡せる。
本当に山と山の間に家屋が集中して集落を形成している様子が良くわかる。

草の道を下るここから水飲み場の背後の山道を登る。
やがてその道は送電線中継所へのサテライト道と交差して、その先は崖の下へと消失する。
そこで、そのサテライト道を右に進むと藪原宿への遊歩道(中山道ではない)と出会うのでそれを進む。
その遊歩道が御嶽神社前の広場に至る直前でさっき消失した中山道の名残らしき道跡が左から合流して来る。
神社の裏から御岳が見えるといかりや町田民宿の主から聞いていたので行って見たのだがどれがそうなのか判然としない。
じっくり見てみたかったがここは冷たい風がぴゅーぴゅー吹き付けるので早々に退散して薮原への坂道を下り始める。

藪原宿が見えてきた眼下に薮原の街並みが見え始め、さらに下ると杖が何本も立てかけてあったので、奈良井側で借用した杖を返却するとすぐに舗装道路に出る。
その舗装道路から復元された石畳の道が分岐する手前で休憩していると、その石畳の道を薮原側から10人ほどの西洋人グループが登って来た。
ちょうど休憩を終えて歩き始めるところだったのだが、娘をベビーキャリーに乗せて背負うまでの一部始終が彼らの注目の的となり、装着完了すると
「Oh」
というどよめきがもれた。
まるでmacpacポッサムの実演ショーだ。

尾州御鷹匠役所跡 石畳の道が終わって急勾配の舗装路を下ると江戸時代に尾張藩主や将軍家に献上する鷹を飼育した尾州御鷹匠役所跡が右手にある。
薮原が一望できる気持ちのいい丘である。
ここから鷹を飛ばせばさぞ爽快だったことだろう。

藪原宿 中山道は藪原宿に入る手前で鉄道に分断されている。
そこで代替ルートを辿ると宿場の途中に入ることになる。
そこから江戸方面は旧い町並みが残っていて風情もあるのだが、京都方面はわずかに名物お六櫛の店が何軒かあるだけで、あとはただのローカル商店街だ。

藪原駅街道をちょっと離れ、薮原駅の駅舎で駅員さんに了解を取った上で民宿でもらったおにぎりを食し、意外にも新しいトイレで娘のオムツを替えた。
またこの時女房と話し合って今晩もう1泊することに決め、当たりをつけていた宮ノ越で唯一の旅館に電話を入れてみる。
するとそこは宿を切り盛りしていたおばあさんが亡くなってしまって現在営業はしていないとのこと。
そこで薮原駅前に見える2軒の旅館に電話を入れ、そのうちの「旅館勇屋」に宿泊決定。
ただちにチェックインして今日必要のない荷物を部屋に残して次の宿場、宮ノ越に向かって出発した。

廃道となった旧国道を歩くここからしばらく国道19号線と、廃道となった旧国道を歩く。
それでも徐々に流れが大きくなる木曽川に沿って、ところどころ消失した旧道の名残らしきものを探しながら歩くと意外に楽しい。

宮ノ越まであと1kmというところで巴ヶ淵に着いた。
ここは木曽川がなぜか流れを緩めてカーブしている。
向こう岸は断崖で、その辺りの水だけがエメラルドグリーンの帯を描いている。
巴ヶ淵この淵に住む龍神が生まれ変わって木曽義仲の愛妻・巴御前となったという伝説に似つかわしい妖気漂う場所である。
--------しかし。
今こちら側の岸辺では青いジャージの上下に身を包んだ小太りのおじさんが巴御前の武勇にあやかろうと木刀の素振りに余念がない。
本人は至って真剣なのだが、失礼ながらロケーションとキャラクターのギャップが激し過ぎて神秘的な雰囲気など吹っ飛んでしまった。

その後木曽川沿いの小集落をいくつか抜け、宮ノ越駅から汽車で薮原に戻り、今日の宿勇屋へ。